健康管理システムで実現する健康経営の具体的施策20選

健康経営の推進において、健康管理システムは単なるデータ管理ツールではありません。戦略的に活用することで、従業員の健康増進から組織の生産性向上まで、幅広い施策を効果的に実現できます。

本記事では、2025年度(令和7年度)健康経営度調査の内容も踏まえ、健康管理システムを活用して実現できる20の具体的施策をご紹介します。ただし、すべての機能を備えたシステムは存在しないため、自社の課題や優先順位に応じて必要な機能を選択することが重要です。

健康管理システムが健康経営に果たす役割

健康経営度調査では、企業の経営方針と健康経営推進方針の連動、そして具体的なKGI(目標達成指標)の設定が重視されています。特に令和7年度調査では、経営課題と健康課題のつながりを「戦略マップ」で整理することが推奨されています。健康管理システムは、これらの方針を実現するための基盤として、以下の役割を果たします

  • データの一元管理
    散在する健康情報を統合し、組織全体の健康課題を可視化
  • 効果測定の自動化
    施策の実施率や改善効果を定量的に把握
  • PDCAサイクルの実現
    継続的な改善を支援する仕組みの提供
  • 戦略マップの実現支援
    経営課題と健康課題のつながりを可視化し、施策効果を測定

健康管理システムで実現できる20の施策

【データ管理・分析系】

①健康診断結果の一元管理と経年分析

内容:過去の健診データを含め、全従業員の健康状態を一元管理し、個人・組織の健康推移を追跡

効果:有所見率の変化や生活習慣病リスクの早期発見が可能に

健康経営度調査との関連:Q33SQ1 最優先健康課題とKPI

②ストレスチェック結果の部署別集団分析

内容:部署・職種・年代別のストレス状況を可視化し、組織の課題を特定

効果:高ストレス職場の特定と優先的な職場環境改善の実施

健康経営度調査との関連:Q37(ストレスチェックの実施)、Q66(集団分析の実施)

③高リスク者の自動抽出とフォローアップ管理

内容:健診結果やストレスチェック結果から要注意者を自動抽出し、面談や受診勧奨を管理

効果:重症化予防と医療費削減

健康経営度調査との関連:Q35-Q36(受診勧奨)、Q51(保健指導)

④健康課題のダッシュボード化とKPI管理

内容:健診受診率、精密検査受診率、喫煙率などの指標をリアルタイムで可視化

効果:経営層への報告効率化と迅速な意思決定

健康経営度調査との関連:Q17SQ1(KGIの設定)、Q71(施策の効果検証)

⑤長時間労働者の把握と産業医面談管理

内容:勤怠データと連携し、法定基準を超える労働者を自動抽出、面談実施を管理

効果:過重労働による健康障害の防止

健康経営度調査との関連:Q57(長時間労働者への対応)、Q68(長時間労働の把握)

【従業員エンゲージメント系】

⑥健康ポータルでの個人健康情報の提供

内容:従業員が自身の健診結果やライフログを確認できるマイページ機能

効果:健康意識の向上と自主的な健康行動の促進

健康経営度調査との関連:Q40(PHRの活用)

⑦健康目標設定と進捗管理機能

内容:個人が健康目標(体重、カロリー記録、歩数、禁煙等)を設定し、達成状況を記録

効果:行動変容の促進と継続率向上

健康経営度調査との関連:Q40(PHRの活用)、Q54(食生活改善)、Q55(運動機会の増進)

⑧健康イベントの参加管理と効果測定

内容:ウォーキングラリーや健康セミナーの申込・参加状況を一元管理

効果:参加率向上と施策効果の定量評価

健康経営度調査との関連:Q55(運動イベント)、Q38-Q39(教育機会)

⑨オンライン健康相談の予約・実施管理

内容:産業医・保健師とのオンライン面談を予約から実施まで管理

効果:相談機会の増加とアクセシビリティ向上

健康経営度調査との関連:Q58(心の健康の相談窓口)

⑩健康情報のプッシュ通知とリマインド機能

内容:健診予約、再検査期限、健康イベント情報などを自動通知

効果:受診率・参加率の向上

健康経営度調査との関連:Q35-Q36(受診勧奨)

【コンプライアンス・リスク管理系】

⑪法定健診の受診管理と未受診者フォロー、就業判定の実施

内容:受診状況をリアルタイムで把握し、未受診者への自動リマインド

効果:法令遵守と受診率100%の実現

健康経営度調査との関連: Q34(定期健診の実施)

⑫健診結果の意見聴取と就業判定

内容:産業医等による就業判定の実施

効果:法令遵守

健康経営度調査との関連:法令遵守の基本要件(Q4SQ1誓約事項)

⑬ストレスチェック実施管理と高ストレス者対応

内容:実施から高ストレス者面談まで一貫した管理

効果:メンタルヘルス不調の予防と早期対応

健康経営度調査との関連:法令遵守の基本要件(Q4SQ1誓約事項)、Q37(ストレスチェック実施)

⑭労働基準監督署への報告書自動作成

内容:健診結果報告書、ストレスチェック報告書を自動生成

効果:報告業務の効率化と正確性向上

健康経営度調査との関連:法令遵守の基本要件(Q4SQ1誓約事項)

⑮休復職者の管理と職場復帰支援

内容:休職から復職までのプロセスを一元管理、産業医意見書も管理

効果:適切な復職支援と再発防止

健康経営度調査との関連:Q47(復職・両立支援)、Q69(休職者の把握)

【健康増進・施策推進系】

⑯生活習慣改善プログラムの実施管理

内容:特定保健指導や独自の健康プログラムの参加状況と進捗を管理

効果:プログラム参加率の向上と進捗の可視化

健康経営度調査との関連:Q51(特定保健指導)、Q55(運動機会)

⑰禁煙支援プログラムの進捗管理

内容:禁煙チャレンジャーの登録から卒煙までの進捗をシステムで追跡

効果:禁煙達成率の向上と継続的なフォローアップ

健康経営度調査との関連:Q62(喫煙率低下の取り組み)

⑱女性の健康課題に特化した支援管理

内容:女性特有の健康課題への相談窓口設置と利用状況管理

効果:女性活躍推進と健康支援の両立

健康経営度調査との関連:Q49(女性の健康保持・増進)

⑲ワーク・エンゲイジメント測定と改善施策

内容:仕事に対する活力・熱意・没頭の3要素を定期的に測定し、結果分析と改善アクションを管理

効果:従業員の活力向上と生産性改善、プレゼンティーイズムの低減

健康経営度調査との関連:Q70(ワーク・エンゲイジメント、アブセンティーイズム、プレゼンティーイズムの測定)

⑳健康経営優良法人申請データの自動集計

内容:認定要件に必要な各種データを自動集計し、申請書作成を支援

効果:申請業務の大幅な効率化

健康経営度調査との関連:Q64(健診結果指標)、Q65(ストレスチェック指標)、Q68(長時間労働指標)、Q70(休職者指標)

システム選定のポイント

これらの20の施策は、健康管理システムが提供できる機能の全体像を示していますが、すべての機能を網羅したシステムは現実的には存在しません。そのため、以下の観点で自社に必要な機能を選定することが重要です

優先度設定の考え方(例)

  1. 法令遵守に必要な機能(必須)
    • 健診結果管理、ストレスチェック実施管理など
  2. 業務効率化に直結する機能(高優先度)
    • 自動抽出機能、帳票作成機能など
  3. 健康経営推進に役立つ機能(中優先度)
    • 分析機能、健康ポータルなど
  4. 将来的に活用したい機能(低優先度)
    • AI予測機能、高度な分析機能など

WellaboSWPで実現できる主な機能

WellaboSWPは、中小企業から大企業まで幅広く活用されている健康管理システムです。以下の機能を中心に提供しています:

基本的な健康管理機能

  • 健康診断結果のデータ管理、事後措置(就業判定・受診勧奨)
  • ストレスチェック機能(57項目・80項目対応、独自質問追加可能)
  • 長時間労働者管理(疲労度確認、過重労働対策)
  • 休復職管理(診断書、休職期間満了日等の管理)

データ可視化・分析機能

  • 健診・ストレスチェック実施状況のリアルタイム可視化
  • 健康課題の可視化(20項目以上のデータ表示)
  • ダッシュボード機能による健康課題の抽出
  • 健康経営度調査対応のデータ集計

運用サポート(オンライン健康管理室ウェラボ)

  • 産業医・保健師による健康管理業務の代行
  • 専門職による継続的なフォローアップ
  • 健康経営優良法人認定取得支援

その他のサービス

  • AI-OCRによる健康診断結果のデータ化(WellaboSWPデジパスPlus)
  • 産業医選任サービス
  • 保健師訪問サービス

まとめ

健康管理システムは、健康経営を推進する上で欠かせないツールです。本記事で紹介した20の施策は、システムが実現できる可能性を示していますが、重要なのは以下の点です。

  1. すべての機能を求めない:自社の課題と優先順位を明確にし、必要な機能を選択する
  2. 段階的な導入:まずは基本機能から始め、徐々に活用範囲を広げる
  3. 運用体制の検討:システムだけでなく、運用サポートの必要性も検討する

WellaboSWPでは、基本的な健康管理機能に加え、オンライン健康管理室ウェラボによる専門職サポートも提供しています。システムと人的支援の組み合わせにより、効果的な健康経営の実現をサポートします。

自社に最適な健康管理システムを選定し、健康経営度調査でも重視される「施策の効果検証」を行いながら、継続的な改善を進めていきましょう。

執筆・監修
WellaboSWP編集チーム

「機能する産業保健の提供」をコンセプトとして、健康管理、健康経営を一気通貫して支えてきたメディヴァ保健事業部産業保健チームの経験やノウハウをご紹介している。WellaboSWP編集チームは、主にコンサルタントと産業医・保健師などの専門職で構成されている。株式会社メディヴァの健康経営推進チームに参画している者も所属している。