中小企業が知っておくべきストレスチェック実施の3つのポイント

中小企業が知っておくべきストレスチェック実施の3つのポイント

労働者のメンタルヘルス対策を強化するため、厚生労働省の審議会は、全ての事業所でストレスチェックの実施を義務付けることなどを盛り込んだ報告書をまとめたという報道がされました。

これにより、これまでは義務ではなかった中小企業もストレスチェック制度への対応が求められます。メンタル不調者が増加する中で、ストレスチェック実施義務化をきっかけとして、職場のメンタルヘルス対策を充実させることが重要です。しかし、中小企業にとっては専門知識やリソースが不足していることが多く、適切な支援企業を選ぶことが成功のカギを握ります。本記事では、ストレスチェック支援事業者(以下、支援事業者)選定の3つのポイントを詳しく解説し、中小企業が効率的に対応できる方法をご紹介します。

ストレスチェックとは

ストレスチェック制度とは

ストレスチェック制度は、労働安全衛生法に基づき、定期的に職場・従業員のストレスの状況を確認し、精神的負担の多い従業員のメンタル不調を未然に予防することを目的とした制度です。2015年より従業員数50人以上の企業で義務化されました。中小企業ではこれまで努力義務でしたが、健康経営に取り組む企業では認定要件に必要なことからも実施する企業が増えてきています。

ストレスチェックを実施するためには

ストレスチェックを実施するためには社内で実施体制を整える必要があります。ストレスチェク支援企業を決めるとともに、ストレスチェックの実施規定を定め、また実施者、実施事務従事者を選任します。実施者には産業医、保健師などの選任要件があり、中小企業では支援事業者に実施者業務も委託することになるでしょう。また、ストレスチェックの結果は従業員からの申し出がない限り、結果が会社にされることはなく、実施者、実務従事者のみが知り得るものとなり、実施者、実務従事者には守秘義務が課されます。

高ストレス者面談とは

ストレスチェックの結果、高ストレス状態にあると判定された従業員に対して、産業医や保健師が面談を行うプロセスです。この面談では、ストレスの原因や従業員の健康状態を把握し、事業場内外のリソースを活用して解決方法を考えたり、必要に応じて就業上の配慮の検討や医療機関への受診勧奨を行います。産業医の選任義務のない50名未満の中小企業では、地域産業保健センターや支援事業者の力を借りて適切に対応することが求められます。

集団分析とは

集団分析は、ストレスチェックの結果を基に、部署やチームごとのストレス状況を可視化する手法です。この分析により、職場全体の課題を明確化し、職場環境を改善するための具体的なアクションプランを策定できるため、中小企業にとっては、限られたリソースの中で効果的な改善策を見つけるための重要なツールです。集団分析を実施して対策を講じてこそ、ストレスチェックを有効活用しているとも言えます。

ストレスチェック委託先選定が中小企業にとって重要な理由

適切な委託先がもたらす職場環境改善の効果

適切な委託先を選ぶことで、ストレスチェックの結果を効果的に活用できます。高ストレス者の早期対応や職場環境の改善を通じて、従業員満足度や生産性が向上し、職場全体の雰囲気が良くなります。中小企業にとって、信頼できる支援事業者との連携は成功の鍵です。

支援事業者選定の失敗が招くリスクとは?

不適切な支援事業者を選ぶと、形だけのストレスチェックに終わり、従業員の信頼を損なう可能性があります。また、データ管理の不備やフォローアップ不足により、法的トラブルやメンタルヘルス問題の深刻化を招くリスクもあります。支援事業者選びは慎重に行う必要があります。

ストレスチェック支援事業者選択のポイント1:高ストレス者への面接対応が可能であること

面接対応における産業医の役割

産業医は、高ストレス者への面接を通じて、従業員のストレス原因を明確化し、適切なアドバイスを提供します。これにより、従業員の健康状態を早期に把握し、問題解決の糸口を見つけることが可能になります。

高ストレス者のフォローアップの重要性

ストレスチェック制度では、高ストレス者へのフォローアップが重視されています。従業員のストレスを放置すると、メンタル不調の発症や離職の原因となるため、早期対応が必要です。また中には就業上の措置が必要な場合など継続的なフォローアップを行うケースもあり、経験のある産業医が面談対応することが重要です。状況によっては、産業医と保健師が連携してフォローアップをすることもあります。

面接対応可能な支援事業者を選ぶ際のチェックポイント

支援事業者選定時には、産業医や保健師が在籍しているか、面接のスケジュール調整や記録管理がスムーズに行える体制が整っているかを確認しましょう。専門職が在籍しておらず、外部委託をしているケースやスポット対応としているケースもありますので注意が必要です。

ストレスチェック支援事業者選択のポイント2:集団分析が実施可能であること

集団分析が中小企業に与えるメリットとは?

集団分析は、職場全体の健康状態を把握できる重要な手法です。特に中小企業では、リソースが限られているため、集団的な課題を早期に発見し、効率的に対処することが求められます。例えば、特定の部署やチームのストレスレベルが高い場合、その原因を分析し、職場環境を改善するための指針として活用できます。集団分析結果に応じた対策を講じることで、従業員の生産性向上や離職率の低下といった直接的なメリットも得られます。

労働環境の課題を可視化する集団分析の重要性

集団分析は、従業員全体のストレスデータを集約し、職場の課題を可視化する手法です。これにより、部署ごとの特性やストレス要因を具体的に把握でき、効果的な改善施策を講じることが可能になります。例えば、長時間労働が原因の部署やコミュニケーション不足が課題の部署を特定し、それぞれに適切な対策を実施することができます。

集団分析の実施能力を持つ支援企業の見極め方

支援事業者を選定する際には、集団分析の精度や提供方法を確認することが重要です。分析結果がわかりやすく視覚化されているか、実務に役立つデータが提供されているかをチェックしましょう。また、支援事業者の実績や他社事例も参考にすることで、実際の効果をイメージしやすくなります。

ストレスチェック支援事業者選択のポイント3:ストレスチェックの運用を任せることができること

ストレスチェックを適切に実施し、その結果を活用するには、運用の専門知識や労力が必要です。しかし、多くの中小企業では、専任の担当者を置くことが難しく、置いたとしても運用負担が大きな課題となっています。そのため、支援事業者に運用全般を任せられるかどうかは、重要な選定基準となります。開催から従業員への案内、結果の分析や報告、フォローアップまでを一貫して提供でき支援事業者であれば、企業の負担を大幅に軽減し、効果的なストレスチェックを実現することが可能です。

ストレスチェック運用を外部に任せるメリットとは?

ストレスチェックの運用を支援事業者に任せることで、企業内部のリソースを節約できます。従業員への通知やデータの収集、結果の分析、産業医面談などのこう酢を取られる作業を任せることができるため、企業担当者は本来の業務に集中することが可能です。また、支援企業のノウハウを活用することで、結果の活用精度が向上します。これにより、法令遵守の確保だけでなく、より実践的な職場改善が期待できます。

運用支援が手厚い支援企業の特徴とは?

ストレスチェックの開催から結果通知は実施している支援企業がほとんどです。集団分析の結果の解説や、部門長等への説明化の実施や高ストレス者の面談実施後のフォローアップなどにまで対応可能であるかどうかがチェックポイントになります。このような支援事業者を選ぶことで、企業内での管理負担を大幅に軽減できます。

支援事業者選定時に確認すべき運用サポート内容

支援事業者を選定する際には、運用サポート内容がどの程度充実しているかを確認することが重要です。具体的には、調査設計や従業員への説明資料の提供、データ管理や分析の方法、産業医や保健師との連携体制などが確認ポイントです。また、結果のフィードバックやフォローアップの支援が含まれているかもポイントです。これらのサービスが揃っている支援事業者を選ぶことで、スムーズな運用が実現します。

執筆・監修

WellaboSWP編集チーム

「機能する産業保健の提供」をコンセプトとして、健康管理、健康経営を一気通貫して支えてきたメディヴァ保健事業部産業保健チームの経験やノウハウをご紹介している。WellaboSWP編集チームは、主にコンサルタントと産業医・保健師などの専門職で構成されている。株式会社メディヴァの健康経営推進チームに参画しているものも所属している。